ゆっくり走れば速くなる

 「名選手必ずしも名コーチにあらず。」と言う言葉がぴったり合う方で、日本電気HEの監督であった故佐々木功氏の本と出合ったのは、ちょうど私が走り始めたときであった。
 走り始めたばかりで気持ちばかり先に行き、ついついオーバートレーニングとなってしまって少し、膝や足首に故障らしきものを感じていた。そんな時、何か良い方法はないかと思っていたところに本書を手にし、それを実行した。その結果何の実績もないただのサラリーマンが、県縦断駅伝の選手になれたし、フルマラソンも2時間54分で走ることができた。
 この方法は一流選手だけでなく、一般のジョガーやこれからジョギングを始めようとする人まで参考になるものと思いますのでここで紹介いたします。

第1章 LSD

 LSD(Long Slow Distance)とは長時間・ゆっくり・距離を踏むことで、長時間走ることで末梢毛細血管を開発し、心肺機能を高め、最大酸素摂取能力を高める。それは長距離に向いた体を作っていくことを意味している。
 LSDは長距離ランナーの器を大きくするための効果的な方法である。器を大きくした上でスピードトレーニングをしていけば無駄なく効率的に速くなれる。

 LSDのスピードは1時間で5`前後で走る。速くてはいけない。ゆっくり走るからこそ自分自信の走るバランスの悪さに気が付くことになる。

 LSDによって、たまった疲れは汗とともに体の外へ出せ!
 休養といっても完全に休んでしまっては体内に溜まった乳酸は無くならない。そこで、LSDによって体をゆっくりと燃焼させ、溜まった乳酸を汗とともに外に出すことが本当の休養といえる。マラソンにかかわらず、体に疲労が溜まったときは良い汗を掻いて、その汗とともに疲労を外に出せば良いのです。

 LSDの時間はそのときの体調によって変わる。自分の体と対話し完全に疲労が抜けるまで続ける。特にフルマラソンを完走した後は最低3週間くらいLSDだけで疲労回復に専念すべきです。

 ゆっくりと走り、考えを一点に集中させて、何度か走酔の状態を味わっているうちに、自然とこれまでのスピードより速くなっていき、精神的にも良い状態となり、「明日も良く走れそあだ」と感じる練習が良い練習といえる。

 LSDによってグリコーゲンの枯渇現象に追い込み、脂肪を燃やしてエネルギー源として使う状態まで持っていくことで本当の持久力がついてくる。

 LSDだけで充分スピードや筋力もUPする。抹消毛細血管を増やすという身体資源を開発しながら、正しいフォームで走り、積極的に疲労回復を図れば、それだけで自己新記録が出る。

 ゆっくりであれば何でもLSD、脈拍で130以下のところで続ける運動はどんな運動でもLSDである。

 走って怪我したものは走って治せ!!電気が走るように、ピーンと響くようなときは筋肉断列か、剥離しているか、関節に損傷があるときであり専門家に見てもらい、治るまで休む。それ以外はゆっくりと走れれば、走っているうちに筋肉が暖まり、またほぐれていくと痛まなくなっていく。 怪我の原因はフォームの悪さといえる。正しいフォームを心掛け再度故障の無いようにすることが大切である。

 練習の9割がLSDで充分である。

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